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伊勢講座

「伊勢」は旧国名なのです、の話。(その二)

それが昭和三十年以降、旧宇治山田市が周辺地域との合併の際「伊勢市」と名のってしまってから、この市だけが「伊勢」であるかのようなイメージが徐々にひとり歩きを始めました。お国訛り(なまり)の「伊勢弁」(いせべん)は伊勢の国の訛りだったのに、現在松阪や津の人は「伊勢弁」と言わない方が多くなりました。

とは言え「伊勢」の名称が「神宮」を強く連想させ象徴しているのもまぎれもない事実です。古来、短歌や俳句、物語や民謡などに出てくる場合は、神宮を直に指すのを遠慮するかのように所在地である「伊勢」が使われました。
鎌倉時代末に書かれた「徒然草」の二十四段にも

(前略)
すべて、神(かみ)の社こそ、すごくなまめかしき物なれや。物古(ものふ)りたる杜のけしきもた
だならぬに、玉垣(たまがき)しはたして、榊(さかき)に木綿懸(ゆふか)けたるなど、いみじからぬかは。
ことにおかしきは、伊勢、賀茂、春日、平野、住吉、三輪・・・
(後略)

とあるように、趣奥き神社の第一に「伊勢」があげられており、この場合は当然「伊勢」=「神宮」を指しています。七百年前も今と同じような使われ方をしているのがわかります。

伊勢市観光協会
副会長 山中 一孝

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