お伊勢参りで繁栄した古市に隣接する中之町にて、古来よりお岩稲荷として祀られ、葛籠(つづら)岩とも呼ばれていました。もともとは、現在地より谷底近くに鎮座した巨石であったそうですが、周辺地域の宅地開発等にて現在地に祀られました。
巨石は大小3つあり、大岩の前には祠が置かれ、石にはいずれも注連縄が張られています。境内の左側には鳥居が立っており、右側に大きな楠が茂っています。
この巨石「葛籠石」の名前の由来については、「伊勢参宮名所図会」に、「石重なりて葛籠の形に似たり」とあります。現状は葛籠の形には見えませんが、かつて丘陵地の斜面か上面に露岩のような状態であった頃は、二つの長方形の板状の大岩が斜めに重なっていて、その形状が葛籠のように見えたのかも知れません。